上司や他の部局との人間関係

国連職員は、事務次長、事務次長補以下、部長にあたるD2、部長代理にあたるDI、課長にあたるP5、中堅のP4、P3からPIまでの等級に分かれている。勤務評定は二年に一度、課長以上の管理職がまずAからEまでの五段階で考査し、上司が決定する。普通は試用期間を経てPIからP5までは、平均三年から五年で昇進していくが、P5以上になると、いわゆるポリティカル・アポインティーと見なされ、出身各国の後押しが増えてくる。各国の政治力が介在するのは、こうした場面だ。なお、国連では、女性登用を進める動きがあり、昇進に必要な実務経験の短縮を認めるなど、性差別は是正される方向にある。

国別に見ると、多い順から米国の千八百八十人、フランスの千二百四十人、英国の千百七人、ドイツの六百八十七人、カナダの六百四十二人、イタリアの六百三十七人、旧ソ連の六百十八人、オランダの六百人となっている。日本は九番目の四百六十七人で、幹部はそのうち六十人前後だ。また、事務局に限って見ると、日本は八二年から八六年まで百人を上回っただけで、その後は九十人前後にとどまっている。事務局が分担率や人口などをもとに算定している「望ましい職員数の範囲」から見ても、その目標の半分にも満たない数だ。

また、職場異動については、空いたポストを公表して志望を聞くことになっているが、実際には人気のあるポストについては情報を得た職員が事前運動をして内定を決めることが多く、その点でも、上司や他の部局との人間関係を日頃から円滑にしておく必要がある。日本人職員は、実務能力では高い評価を得ているものの、こうしたパフォーマンスが苦手で、昇進にはマイナスになっていると言う人が多い。