ある典型的な社内失業者の生活と苦悩

社内失業者たちが抱える閉塞感とはどのようなものなのか?まずは典型的な社内失業者の証言を見ていきたい。山田良行さん(27歳)は大手人材派遣会社で働く正社員だ。彼のインタビューを読んでいただければ社内失業者が普段どのようなことを考えて過ごしてい…

女性とヴェール

胡瓜は果物であるというと笑う人がいるかもしれない。でもイランでは胡瓜は果物であった。知人を訪ねていくと応接セットのテーブルにブドウやオレンジ、ザクロに混じって胡瓜が置かれていた。「ペファルマイー(どうぞどうぞ)」といって果物を食べるように…

日本自動車の国際競争力の向上

ロサンゼルスでは巨大な高速道路が都市の真ん中を貫いている。私もその高速道路でクルマを運転中、スモ。グに出合ったことがある。上り下り合わせて一〇車線の高速道路を、見渡すかぎりの自動車の大群が、静々と這うように動いていた。世界中の自動車がそこ…

私の退職金をアテにしている

その話とは、母親が、このままでは前途が不安だからこの際利子で生活できるようにまとまったカネを手にしたい、と言い出したというのである。これには二つ前提がある。私の祖母、つまり母親の母親は、祖父の死後五〇年近くも生きたが、農地解放後はまず屋敷…

細川政権の姿勢

日本では、新たに誕生した細川政権の内部で、首相官邸と外務省の調整が難航したが、結局、九月に国連総会では「改革された国連で、なし得る限りの責任を果たす用意がある」と表明した。これは、PKOの見直しや財政の建て直しなどの国連改革を前提に、立候…

アウトローな法律の使い方

日本の法律では、ナマの力をもって勝手に権利を行使する「権利の実現」は禁じられています。これを我々法律家は「自力救済の禁止」と呼びます。もしそれをやってしまうと窃盗罪とか、暴行罪とか、住居侵入罪とか、ケースバイケースでいろいろな犯罪が成立す…

護送船団行政の破綻で没落

「非公開の金融情報」を限定した企業に提供する、とのうたい文句で会員に誘い、会員の金融機関から一社当たりなんと年間三〇〇万円もの寄付金を会費として納めさせてきた。このような超高額の寄付金を要求できたのも、同基金が監督権を持つ大蔵省によってつ…

売買の裏付けがあって初めて確認される価値

日本では株式市場がいま一つ効率化されていません。そのために、資源配分が最適化されず、経済が目一杯拡大しないというのは、われわれ国民全体にとって不幸なことです。しかし見方を変えてみますと、このような市場だからこそ、あなたは「儲かる株」を見つ…

得点法の人事評価

六十代の人々の雇用労働への参加率は近年わずかではあるが、むしろ上昇の気配を見せている。これは人々の就業意欲があるところに、企業の高齢労働力活用への志向性が少しずつ高まっている事を示唆しているのかもしれない。五十代の後半から六十代の人々の活…

経済学の常識

日本の税制は、退職給与引当金にみられるように、伝統的な製造業(なかんずく重厚長大産業)に対して多くの特典を与え、税負担を軽減している。しかし、その半面で、ソフトウェアや情報関連の事業や投資に関しては、あるべき水準より重い税負担を課している…

自由な市場の機能維持

米国式経営文化は市場メカニズムへの強固な信仰の上にあるが、これは秩序を守り、調和を重んじる我々の伝統文化と対立する。忘れてはならないのは、市場メカニズムは効率的な資源の配分に不可欠であるが、ときに暴走することである。市場の健全な機能と社会…

あきらめは禁物

現在の研究テーマである「ヒトの人工染色体形成」は、八三年に名古屋大の教授になった時から取り組んでいるものです。人間の染色体を人工的に作る研究で、藤田保健衛生大に移った今も続けています。遺伝子の本体のDNAは細胞内では「染色体」の形で存在し…

上司や他の部局との人間関係

国連職員は、事務次長、事務次長補以下、部長にあたるD2、部長代理にあたるDI、課長にあたるP5、中堅のP4、P3からPIまでの等級に分かれている。勤務評定は二年に一度、課長以上の管理職がまずAからEまでの五段階で考査し、上司が決定する。普…

アメリカ人の理想として描かれつづけてきた独立自営農民

このような都市の人間像は、純朴で正直な独立自営農民のイメージと、まったく対照的であった。ジェファスン的基準でいえば、都市の人剛は国民の「不健全」な部分であり、その「不健全」な部分が、こんなに増加したのはアメリカがそれだけ「腐敗」したことを…

「金より人間」の日本の価値観

実際、営業時間の自由に対して制限を加えようとする動きが長野県で始まっている。ニ四時間営業をしている事業者の営業時間の短縮加温室効果ガスの排出の抑制に効果があるとして、二〇〇七年三月、「地球温暖化対策条例」を施行させ、知事が二四時間営業の事…

弱者を利用する強者の論理

沖縄の社会は、憂うべき、情けない状況を呈している。人びとが生き方の指針として日常的に口にしてきた「命どう宝」(命こそが一番大事)というズロい言葉が、いつしか「銭どう宝」(お金が大事)に変わりつつあるからだ。この世は、お金がなくては、生きて…

実学の思想

先に、新聞記者はフリーライターにせよと主張したが、大学教授も時間講師にして、一時間当たりいくら、という時給制にしたらどうか。カントやヘーゲルも元は学生からの聴講料だけに依存する私講師だった。そうすれば大学教授が政府の審議会やマスコミ稼業に…

外資系に勤めるということ

一口に外資系企業といっても、実態は千差万別である。例えば、日本に古くからあり、外資系企業の成功事例の典型とされている日本IBM。その経営の実態はかなり日本企業に似ている。実質的な終身雇用制、年功序列制もあり、退職したOB同士が助け合って事…

証拠文書の提出義務とは

そういう技巧的な方法に頼ると、結局事実が不明確なままの状態を受け入れてしまい、「日本の裁判で証拠が出てこないという実状は仕方がない」ということにもなりかねないのではないでしょうか。こうした小手先のテクニックだけでは、本質的な問題は解決しま…

ある典型的な社内失業者の生活と苦悩

社内失業者たちが抱える閉塞感とはどのようなものなのか、まずは典型的な社内失業者の証言を見ていきたい。山田良行さん(27歳)は、大手人材派遣会社で働く正社員だ。彼のインタビューを読んでいただければ、社内失業者が普段どのようなことを考えて過ごし…

伸びれば有利な雇用慣行

さて、こうした「官僚主導・業界協調体制」で過剰投資や新規参入を抑制すると、既存の業界は経営が安楽になる。同時に官僚の側も所管企業の役員や各種業界団体の理事職などの天下りポストが得られる。天下った元官僚がまた、業界の意向を現役官僚に流す役割…

労働者との間のみなし雇用契約

よって、請負人による労働者に対する指揮命令がなく、注文者がその場屋内において労働者に直接具体的な指揮命令をして作業を行わせているような場合には、たとい請負人と注文者との間において請負契約という法形式が採られていたとしても、これを請負契約と…

国際協調による通貨安定

現実にいろいろな政策が行われたにもかかわらず、経常収支黒字が縮小しないのは、政策を中立化するメカニズムが存在することに注目しなければならない。為替レートの安定に一国の経済政策の対応では有効性が小さいが、関係国が協調して同一方向へ誘導する政…

石油価格の急上昇

一九七三年の第一次石油ショックは、「南」が「北」に与える痛撃として、想像しうるもっともラディカルな行動であった。原油価格の四倍値上げ直後、すべての人が深刻に憂慮したのは、世界中のカネがすべて産油国に集中し、消費国はふところがすっからかんに…

ヘボ碁打ちの思い

私は、学生時代も、軍隊でも、戦後月給取りになってからも、理想と現実の違いを巧く扱えず、不満であったので、そこから脱け出せなかった。そういう私か岸田國士先生にめぐり会っだのは、私にとっては、この上もないことであった。戦場は職場に過ぎない。職…

事実を正確に観察

スタンフォードにいく前の私はもちろんこの仮説という言葉には何回も接していた。その場合、科学における理論は決して最終的なドグマであってはならないという点が、強調されていたように思う。科学における理論は常に新しい事実の発見とともに、いつでも変…

通貨同盟の先行

両ドイツの統一は決して容易なことではなかった。統一ドイツが強大化することに脅威をもつ周辺国が強く反対したし、統一ドイツの軍事的脅威の潜在性からみて反対する国も出てきた。フランス、ポーランド、ソ連(とくに保守派)の反対がとりわけ強かった。だ…

開放政策の実施

中国が毛沢東の集権的社会主義の時代を終えて、訒小平の改革・開放の時代に入ったのは、いま指摘したように1978年末の第二期三中総の決定によってであった。これに及して訒小平はつぎのように発言している。「党の第二期三中総は開放政策を決めると同時に、…

浪花節が封建的

そう言えば、ブームを起こした、一杯のかけそば、というのもあった。NHKの朝の連続ドラマ。今やっているのもそうだが、「おしん」などというのは、浪花節的ドラマの傑作なのであろう。民放の「大岡越前」や「水戸黄門」などという長寿人気番組もそうであ…

科学者とエピソード

偉大な業績をあげた科学者の中にも、エピソードに富んだ人と、比較的話題に乏しい人とがある。前者は事実か否かも定かでない話まで加えられて、その名声は高まる一方であるが、後者は専門家以外にその名もあまり知られないことになりがちである。近代物理学…